2009/10/01

【聖書】列王記上3:9

 「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。」これは米国の神学者ラインホルト・ニーバー(1892~1971)の祈りの言葉として知られています。ニーバーの影響はキリスト教界ばかりでなく広く米国の政治・外交にも及んだそうです。
 この祈りの言葉について「このような人間の不完全性を謙虚に受け止める冷静さと賢明さこそが、まずは保守に要求される基礎的な能力です」と中島岳志(北海道大学大学院准教授/日本政治思想史)は言っていますが「歴代内閣発足時の支持率とその推移を見ると、流動的な気分によって世論が動く熱狂体質」のような危機を感じます。保守とか革新とかを問わず覚えるべき大事な言葉のようです。
 ダビデ王の後を継いで王となったソロモン(BC961~)の統治とその繁栄は目覚しいものがありました。「あらゆる国の民が、ソロモンの知恵をうわさに聞いた全世界の王侯のもとから送られて来て、その知恵に耳を傾けた」(列王記上5:14)と記されています。統治にあたってソロモン王が神さまに祈り求めたものは、権力や国益でも軍事力でもなく、正しい政治のため善悪を判断するため愛をもって民意を聞き分ける知恵でした。一人の人間としての大事な核心であり土台だと思うし、どういうふうに物事を見るかという視座だと思います。
 そのようなソロモン王の統治も限界がありました。流動する時代と環境の中で罪にまみれた悲惨な道程が待っていました。「ソロモンの栄華」の芯には赦しを請うべき深い罪の影があることを聖書は率直に指摘しています。21世紀のゼロ年代のチェンジの声が間違った選択に結びつかないよう(田中秀臣・上武大学教授)神さまの赦しのもと「識別する知恵」を祈り求めたい。